「監視者」 としての平民階級

書誌事項

タイトル別名
  • The Plebs as “Guardian (Guardia)”:
  • Machiavelli’s understanding of the role in plebs
  • ―マキァヴェッリの共和主義における平民理解

抄録

<p>本稿は、ニッコロ・マキァヴェッリ (1469‒1527) における平民の利害を擁護する法制度の検討を通じて、少なくとも1510年代から1520年代初頭にわたって、一貫して平民階級に対する一定の警戒が保持されており、平民階級が国制内部における唯一の、そして特権的な地位を持たない点を明らかにする。『ディスコルシ』 は、護民官が持つ監視者としての機能 (例 : 弾劾権) を強調する一方で、護民官の弾劾権や過剰な平民階級の権限肥大化は、むしろ修正されるべき弊害であり、護民官制度もまた、貴族―平民間の均衡状態を恒久的に維持させる万能の解決策ではない。この状態は、平民階級もまた、何らかの弊害 (その判断力には制約があり、無謬性の想定がなされない/平民側もより獰猛で有害な権力欲を持ちうる) を持つ点から発生する。他の諸集団 (貴族、君主) 以上に判断において誤ることが少ないという、いわば消極的選択から、平民階級に対するマキァヴェッリの依拠が構成される。かくして、彼の枠組みにおいて、護民官を通じた平民の権限拡張すら、敵対する諸集団同士の動的均衡を究極的に保証する手段ではない。そしてこの構図は、1520年代初頭の 『フィレンツェ政体改革論』 以降も踏襲される。</p>

収録刊行物

  • 年報政治学

    年報政治学 72 (2), 2_304-2_325, 2021

    日本政治学会

参考文献 (6)*注記

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