日本における河川水質の長期変化に関する研究(1) ー全国規模の観測記録からー

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タイトル別名
  • Study on long-term changes in river water quality in Japan (1) -From national observation records-

抄録

<p>日本では高度成長期に全国で水質汚濁が問題となったが、法整備や 社会全体の環境意識高揚などで水質が改善されてきた。 しかし、現在でも都市郊外や山村地域などで水質汚濁が激しい地域も残っている。排水処理施設の問題などから、 大河川流域では下流部よりも上流部に汚染地域が目立つ流域が多い。 行政によって1971 年から継続されてきた「公共用水域の水環境調 査」結果や、市民団体を中心に2004年に始まった「身近な水環境の全 国一斉調査」といった全国規模の観測記録を中心に、日本の河川水質 の長期変動について検討してきたが、今回は、最新の2022年の結果もあわせて考察を行う。</p><p>国立環境研究所のDB「公共用水域の水質調査結果」を用 いて 1971 年以降の水質変化を整理し、「身近な水環境の全国一斉調 査」については、2004年~2018年の COD の調査結果を整理し長期的な変化について考察した。2018年以降については、 研究室で行ってきた全国規模の観測記録を用いた。1 .公 共 用 水 域 の 水 質 調 査 結 果 1971 年に約1,000 点だった観測地点が、15年後の1986年には 5,000 点を超え、その後6,000点弱の地点での観測が継続されてき た。BOD 値の経年変化では、当初3以上が半数を占めていた(1971 年)が、1976 年には2 以下が半数となり、最近では2以下が約8 割を占めている(2018年)。2.身 近 な 水 環 境 の 全 国 一 斉 調 査 調査が始まった2004 年は約2,500 地点だったが、2005年には約 5,000 地点となり、その後6,000 地点前後で推移するものの2018 年には約7,000 地点となった。COD4以下が約半数となっている。3,1971 年 以 前 の 水 質 小林(1961)による研究成果などはあるものの、系統的 に観測された水質データは入手しづらく、研究論文や 報告書などから整理したが、過去の水質を明らかにすることの困難さが浮き彫りとなった。4.最 近 の 水 質 2017 年~2020 年にかけて、毎年全国2000箇所以上で調査した データを整理し、近年の河川水質の現状を明確にした。</p><p>全国規模の長期的な観測結果に加え、1971以前のデー タを収集整理し過去の水質の復元を試みた。また、 独自に全国規模で約2,000地点の観測を行い、現 況を明らかにした。特に、2020年には沿岸域、2021年では内陸部で調査を行ったことで広域に検討することができた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390575971012419200
  • DOI
    10.11520/jshwr.35.0_85
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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