急勾配のパッティングにみられるゴルファーの知覚と方略

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  • アマチュアの試行はなぜ標的手前下側に偏るのか?

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<p>傾斜地でのアマチュア(アマ)のパッティングにおいては、アマサイド(ホールの下方エリア)から外れる現象が多くみられ、これはボールを打ち出す角度が浅いことを示唆する。本研究では急勾配のパッティングにおける環境知覚、方略および動作が、技能水準によってどのように異なるかをキネマティクスの観点から明らかにすることを目的とした。プロゴルファー(プロ)と中級アマ各12名に、3 mの距離から1 度と3 度の傾斜条件(左側が高い)を各10 打プレーしてもらった。参加者はシャッターゴーグルを装着したため、結果の視覚的フィードバックを得ることはできなかった。測定項目は、打ち出したい方向(狙い角度)、アドレス時フェース角度、パターヘッドとボールのキネマティクス、傾斜再現測定(傾斜知覚)であった。本実験の結果から、狙い角度、アドレス時フェース角度、ボール発射角度において、アマはいずれの局面においてもプロよりも角度が浅かった。特に3度条件の際に、技能水準の違いが顕著にみられた。一方、インパクト速度とボール発射角度の相関分析から、プロにおいては両変数に強い相関が認められ、アマにおいては弱い相関が認められた。すなわち、アマは打ち出し角度に応じた速度、もしくは速度に応じた打ち出し角度が選択できていないことがわかった。これがアマの急勾配のパッティングがうまくいかない原因の一つと考えられる。また、アマのホール付近のボール速度はプロよりも高く、外れた際にボールが遠くまで転がってしまうこともわかり、アマのパッティングはホールインしなかった際のリスクがプロよりも高いことが明らかとなった。さらに、アマは1度と3度の両傾斜を過小評価していたことから、アマが急勾配のパッティングをうまくプレーできない原因として、傾斜を適切に知覚できていないことも示唆された。</p>

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