診断に苦慮した眼底所見のない晩発性レーベル遺伝性視神経症の一例

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タイトル別名
  • Atypical Case with No Fundus Findings of Late-onset Leberʼs Hereditary Optic Neuropathy

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説明

<p> 症例は57歳男性.左踵悪性黒色腫に対する全層皮膚移植の3週間後に亜急性の視力低下を自覚し当科を紹介受診.初診時矯正視力は,右眼(0.04),左眼(0.07)で,両眼に盲中心暗点を認めた.対光反射は迅速,相対的瞳孔求心路障害は陰性であった.眼底写真撮影では左眼下方に網膜神経線維層欠損を認めるのみで,視神経乳頭に発赤・腫脹や毛細血管拡張を認めなかった.光干渉断層計では初診4週目から乳頭-黄斑部の神経節複合体厚の菲薄化を認め,動的視野計にて中心暗点は拡大傾向であった.レーベル遺伝性視神経症(LHON)の可能性を考え,ミトコンドリア遺伝子検査を施行した結果,ミトコンドリアDNAの11778点変異を認めた.本症例は晩発性で家族歴もなく,かつ視神経乳頭の特徴的な所見を伴っていなかったため,LHON発症時の典型的な臨床像から離れていた.急性の盲中心暗点の進行を認めた場合は,典型的な所見を伴わなくとも晩発性LHONの可能性を念頭に置く必要がある.</p>

収録刊行物

  • 神経眼科

    神経眼科 39 (4), 320-325, 2022-12-25

    日本神経眼科学会

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