壺造り黒酢の非アルコール性脂肪性肝疾患に及ぼす効果

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抄録

<p>【目的】非アルコール性脂肪性肝疾患(Nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)は有病率の高い肝疾患であり、NAFLDの1~2割は、肝硬変や肝がんの原因となる非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis: NASH)に進行する。NAFLDの有効な治療法は確立されておらず、その発症を防ぎ、治療法や診断方法の開発が急がれている。壺造り黒酢は調味料として専ら使用されてきたが、近年では機能性食品の一つとして広く認知されている。黒酢の効果として「血圧を下げる」「脂質異常症を改善する」などのさまざまな有効性が示唆されている。本研究では黒酢濃縮液がNAFLDに及ぼす影響についてマウスを用いて検討した。【方法】黒酢濃縮液を含む高脂肪・糖質食(HFD: High Fat Diet)を自由摂食下で飼育し、その対照群としてHFDのみと標準飼料(SD: Standard Diet)群における脂肪肝への影響を60週間飼育したマウスで評価した。また、HFDがマイクロRNA(miR)に及ぼす影響を検討するため、miRの発現量の変化を評価した。【結果】HFDを摂取させた群では、飼育10週後から肝臓に脂肪沈着が、25週後には脂肪肝が、60週後にはHFD群において過形成の発生率が上昇すること、BV群ではその発生率が抑制されることが認められた。HFD群に発生した過形成領域とBV群におけるmiR発現を比較するとmmu-miR-127、mmu-miR-485などのmiR発現がBV群で低下していることが認められた。HFDによるmiR発現の変化を50週飼育したマウスで評価したところHFDによりmmu-miR-127、-485は肝臓、血漿で発現が上昇していた。HFDによりHistone acetyltransferase(HAT)活性が亢進することが認められ、miR発現が上昇したDNAの上流についてChipアッセイで分析したところHFDによりH3K27Acレベルが亢進する領域があることが示唆された。【考察】HFDによりmiR発現が変化すること、HFDにより肝臓に過形成が形成され、BV摂取によりmiR発現上昇が抑制されることが示唆された。HFDによりHAT活性が亢進することが認められ、HFDはヒストン修飾を変化させることでmiR発現を変化させる可能性が示唆された。またHFDによる過形成の発生する以前にもmmu-miR-127、-485は肝臓、血漿で発現が上昇しており、HFDに伴う肝病変のバイオマーカーとして利用できる可能性が示唆された。【結論】HFDは肝臓に脂肪肝、過形成を発生させ、BVはmiRの発現を変化させる可能性が示唆された。</p>

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