紀伊半島における屋敷囲いとしての石垣

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タイトル別名
  • キイ ハントウ ニ オケル ヤシキガコイ ト シテノ イシガキ
  • Stone Wall surrounding Houses for Wind-break in the coastal area of Kii Peninsula

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抄録

type:Article

紀伊半島南端は,台風が強風のまま頻度高く上陸する地域である.この半島の海岸部の串本と紀伊大島と潮岬には,強風を防ぐための防風石垣がよく残っている.このいずれの集落も,石材は近場の岩石を用いている.野石積みで隅角は算木積みとし,2mを超える高さになる場合は反りをつける.石積みの様式は,本州様式である.紀伊大島の須江では,石英安山岩を用いた石垣があり,海岸では高く,内陸に行くにしたがって,野石積みの高さを減ずる.潮岬の段丘崖上の神社には,海岸の輝緑岩を用いた堅固な防風石垣が分布する.内陸の上野では,石垣のみの場合は,その高さは160cmに達する.石垣と生垣を組み合わせた防風垣の場合,その高さは2mを超える.生垣を用いる型は,内陸に入った半農半漁の集落に多くなる.串本は,トンボロの旧海岸線に近い位置では,3mを超える高い石垣が分布するが,内陸側では石垣は低くなる.

収録刊行物

  • 法政地理

    法政地理 39 45-56, 2007-03-22

    法政大学地理学会

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