クローン病患者における粘膜関連細菌叢の解析

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抄録

<p>【目的】我々は粘膜関連細菌叢(MAM)の解析により、クローン病(CD)患者では健常者に比べて細菌叢の多様性が低下していることや、CD患者でも特に抗TNFα抗体製剤による治療を受けるような中等症以上の症例でOscillospiraなどの酪酸産生菌が減少していることを報告している。今回我々は、CDにおいて腸管狭窄や手術歴の有無、病型でのMAMの検討を行った。</p><p>【対象・方法】</p><p>2016年2月から2021年11月で当院を受診しブラシ鉗子で採取したMAM解析に同意されたCD患者と健常者についてMAMを比較検討した。内視鏡下にブラシで採取した回腸粘液はDNAを抽出後、16srRNA遺伝子のV3-4領域を増幅してIlumina社製Miseqによりシーケンス解析を実施した。QIIMEを用いて微生物の属レベルまでの同定を行い、細菌構成比、多様性について検討した。当院倫理委員会承認(IRB:5733-01)</p><p>【結果】対象は、細菌叢解析が可能であったCD患者39例(F:M=14:25、平均年齢38.1歳)健常対照者23例(F:M=15:7平均年齢56.1歳)。CD患者の臨床背景は、小腸型9例、小腸大腸型26例、大腸型4例、手術歴有9例、腸管狭窄有16例、生物学的製剤による治療歴有26例であった。CD群は対照群と比較して菌の多様性はαβ共に有意に低下していた。CD群内の比較では狭窄あり群ではCoprococcusが有意に低下しており、手術歴あり群ではDoreaOscillospiraCoprococcusが有意に低下、Veillonellaが有意に増加していた。病型別の比較では小腸型<小腸大腸型<大腸型の順に有意にFaecalibacteriumが増加していた。</p><p>【結語】手術歴や腸管狭窄を有するCDのMAMでは酪酸産生菌の菌量が低下することが示唆された。</p>

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