コロナ禍での大学病院の診療の変化

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抄録

<p>2020年2月から始まったコロナ禍は3年になろうとしています。</p><p>私は救急医として、所属機関の方針「大学病院としての高度医療の提供」「高度救命救急センターとしての救急医療の提供」「新型コロナウイルスとの対峙」を念頭に診療を行っています。</p><p>第1波~第4波当時は大変元気であった方が発症から7日目くらいに突然呼吸状態が悪化する、「幸せな低酸素」という経験したことがない病態との闘いでした。コロナ以外の救急医療とコロナの重症診療の両立に苦しんだ時期でしたが、重症患者に対する治療法が確立した時期でした。この頃に医療者のワクチン接種が始まり、「患者さんに知らない間に感染を広げたらどうしよう」という不安は軽減されてきました。</p><p>第5波:ワクチン接種とデルタ株蔓延の競争の時期でした。重症者の多くは、中年・若年の方で、ECMO、人工呼吸器が最も稼働した時期です。この年代で呼吸状態が悪くなることは、医師となってこれまでに見たことがない光景でした。抗体療法が開発され、「コロナウイルス感染者の重症化を予防する」治療が初めて手に入りました。「今日のワクチン接種が一か月半後の感染者を減らす」「今日の抗体療法が一週間後の重症者を減らす」と現場では声を掛け合っていました。</p><p>第6波:「ワクチン2回で重症化予防効果はあるが、感染予防効果は乏しい」ことを実感しています。しかし、コロナ病床の景色は第4波、第5波の「はじめての光景」ではなく、“déjà-vu”と感じています。今後はどうなるのか、ワクチン接種と重症化予防治療法の有効性について適時情報のバージョンアップを行い医療と社会生活のバランスについて考えることが重要と考えます</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s130_1-s130_1, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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