臓器・組織提供に関する意思確認の実際

DOI
  • 織田 順
    大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター

抄録

<p> 臓器・組織移植による治療はめざましい発展を遂げてきたが、移植医療が成り立つプロセスの始まりは、臓器・組織提供する方やご家族の貴重なご意思であることに変わりはない。</p><p> その方法として、脳幹反射が概ね消失し活動脳波を認めない患者さんについてはそのご家族に「移植医療に関する情報提供」のみを行い、さらに移植医療に詳しい人からの話を聞いてみても良いというご家族には院外のコーディネーターと面談していただき、その後にコーディネーターとの間で適応基準などの一切の話をしていただいている。これをできる限りルーチン化する工夫はあっても良いと考えている。</p><p> 一方で、脳死判定は循環の状態が許す状況でないと行えない。また、脳死とされうる状態にある患者さんは年齢や病態により差はあるものの比較的短期間のうちに循環不全に陥る。集中治療の技術により循環維持は可能な場面が多いが、対して神経予後が悪いと考えられる症例においては、現実的には緩和的な治療方針がとられ循環維持に必ずしも積極的にはならない場合が多い。臓器提供をご希望になったときには臓器提供が考えられない循環動態に進行している、ということがないようにするために、ご家族が検討されている間にはご説明を行った上で循環維持を行うことが現実的ではないかと思われる。臓器・組織提供の意思があれば活かせるように想定し準備しておくことが重要である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s137_2-s137_2, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390576678801606400
  • DOI
    10.11386/jst.57.supplement_s137_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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