新規免疫再生医療「誘導型抑制性T細胞」の医師主導治験の実施と普及に向けた課題

DOI
  • 内田 浩一郎
    順天堂大学 免疫学 免疫治療研究センター
  • 松本 龍
    順天堂大学 免疫学 免疫治療研究センター
  • 徳重 宏二
    順天堂大学 免疫学 免疫治療研究センター
  • 原田 昌樹
    順天堂大学 免疫学 免疫治療研究センター
  • 広田 沙織
    順天堂大学 免疫学 免疫治療研究センター
  • 藤村 操
    順天堂大学 免疫学 免疫治療研究センター
  • 竹田 和由
    順天堂大学 免疫学 免疫治療研究センター
  • 奥村 康
    順天堂大学 免疫学 免疫治療研究センター

Abstract

<p>アロ移植片への選択的な免疫制御機能を持つ誘導誘導型抑制性T細胞は、再生医療等製品としての承認を目指し、医師主導治験にて生体肝移植における、移植免疫寛容という臓器移植後の免疫抑制剤からの離脱状態を誘導する効果について探索中である。この新規免疫細胞は、FoxP3陽性CD4陽性制御性T細胞と抑制性CD8陽性T細胞を主に構成され、レシピエントのT細胞を原料とし、ドナー抗原とT細胞共刺激阻害剤(CD80抗体、CD86抗体)で培養誘導される。先行研究においては、その単回投与により10年以上の免疫抑制剤離脱に成功するという画期的な有効性はもつものの、本治験の実施と将来の普及に向けた開発課題は多い。 特に、肝不全患者や移植ドナーからの自家リンパ球という原料の安定採取、移植後早期からの骨髄抑制下における細胞治療と支持療法、さらには免疫抑制剤の減量・中断の指標の確立は、安全な臨床治療を目指す上で至適使用ガイドラインに入れ込む事項である。 また、寛容誘導により免疫抑制剤関連の副作用の発症リスクの軽減を比較検討するためには、本邦の生体肝移植の臨床レジストリーの構築も必要となるなど、学会連携で進めていかなくてはいけない社会的課題も存在する。 本再生医療の早期の実用化を促進するために取り組むべき課題が洗い出され、医療現場、製剤開発、規制、学会連携を調節し議論を進めていく場が必要である。</p>

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