小児脳死ドナーからの小児肝移植

DOI
  • 阪本 靖介
    国立成育医療研究センター臓器移植センター
  • 内田 孟
    国立成育医療研究センター臓器移植センター
  • 清水 誠一
    国立成育医療研究センター臓器移植センター
  • 岡田 憲樹
    国立成育医療研究センター臓器移植センター
  • 中尾 俊雅
    国立成育医療研究センター臓器移植センター
  • 兒玉 匡
    国立成育医療研究センター臓器移植センター
  • 小峰 竜二
    国立成育医療研究センター臓器移植センター
  • 福田 晃也
    国立成育医療研究センター臓器移植センター
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター臓器移植センター

抄録

<p>脳死ドナーからの肝臓提供において、15歳未満からの臓器提供が可能となり、18歳未満からの肝臓提供は18歳未満レシピエントに優先的に配分するシステムが実施されている。</p><p>本邦における脳死肝移植適応疾患において、医学的緊急度が高い(Status 1)疾患は急性肝不全、および内科的治療にて制御不可能な代謝性疾患であるが、近年の小児優先提供の実施により、Status 2の症例においても脳死肝移植の機会が増加傾向にある。</p><p>小児脳死ドナーからの肝臓提供における留意点は、術前において脳死ドナーの体格より標準肝容積を算出し、グラフトとレシピエントのサイズマッチングを評価することが重要である。小児脳死ドナーからの肝臓を使用した場合に、血管合併症、特に肝動脈血栓症のリスクが高いと報告されている。肝臓摘出術については腹腔動脈幹・腹部大動脈壁を含めた形で動脈を採取する必要がある。術後においては必要に応じて抗凝固療法を実施する。</p><p>当院で2022年3月までに脳死肝移植を実施した18歳未満レシピエント59例の内、25例(42.4%)が小児脳死ドナーからの提供を受け、小児優先提供開始以降は19例とその大半を占めていた。原疾患ではStatus 2で登録された原発性硬化性胆管炎症例(7例, 28.0%)が代謝性疾患に次いで多かった。5例(20.0%)に外科的合併症を認めたが、肝動脈血栓症は認めなかった。急性肝不全症例1例を除き全例生存中である(3年グラフト生存率:96.0%)。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s176_2-s176_2, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390576678801653120
  • DOI
    10.11386/jst.57.supplement_s176_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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