臓器提供を見据えた集中治療管理

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抄録

<p>臨床的に脳死となりうる状態であり臓器提供の可能性がある患者では、臓器保護を目的とした集中治療管理が必要となる。その管理には、通常の集中治療の範疇で対応できる部分も多くあるが、脳死に至る際のカテコラミンサージやその後の神経原性肺水腫、そして尿崩症などを含めた内分泌異常など特有の生理学的変化に対する対応も求められる。2020年にはThe World Brain Death Projectより脳死/神経学的基準による死に関するコンセンサスが発表され、脳死患者に対する集中治療管理についての一定の見解が提示された(JAMA, 324:1078, 2020)。一方、本邦では、これまでMCの協力の上でドナー管理がなされてきた経緯があるが、脳死臓器提供が増加した場合には、厚生労働省のガイドライン上で臓器提供可能施設とされている5類型施設をはじめとした各医療機関が自立して質の高いドナー評価・管理を行うことができるようになることが求められるであろう。従って、臓器提供を見据えた集中治療管理について、すべての集中治療医が理解しておく必要があろう。加えて、欧米の移植先進国では積極的な心停止後の臓器提供が追及されており、心停止後の体外式膜型人工肺(ECMO)の導入と心停止後の臓器摘出が可能となっている。日本ではこれらの取り組みが始まったばかりではあるが、心停止後ECMO導入による臓器保護についても今後は検討する必要があろう。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s186_1-s186_1, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390576678801664000
  • DOI
    10.11386/jst.57.supplement_s186_1
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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