小児肝移植患者における新型コロナウイルス感染症の血清疫学的調査

DOI
  • 船木 孝則
    国立成育医療研究センター 感染症科
  • 山田 全毅
    国立成育医療研究センター 感染症科 国立成育医療研究センター 高度感染症診断部
  • 庄司 健介
    国立成育医療研究センター 感染症科
  • 福田 晃也
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 阪本 靖介
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 大宜見 力
    国立成育医療研究センター 感染症科

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抄録

<p>【目的】免疫不全状態の肝移植患者における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体獲得状況の報告は少ない。年代別に分けた肝移植患者の抗体陽性率を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】2021年11月1日から2022年1月31日に当院外来に定期受診した肝移植患者(移植時年齢が20歳未満)を対象とし、残血清を用いてSARS-CoV-2に対するスパイクタンパク抗体(S-IgG)、ヌクレオカプシドタンパク抗体(N-IgG)を定量的に測定し、抗体獲得状況を後方視的に検討した。S-IgG及びN-IgGのカットオフ値は各々20BAU/mL、10SU/mLとした。対象患者の属性、基礎疾患、免疫抑制薬の使用状況、新型コロナワクチンの接種状況、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患歴を含む情報は電子診療録から得た。</p><p>【結果】研究期間内に対象患者388名から512検体が得られた。年齢の中央値は9.2歳で、12歳以上の患者は36.3 %(141名)であった。対象患者のうちCOVID-19罹患歴があった患者は1.3%(5名)であったが、N-IgG陽性患者のうち、罹患歴が明確であったものは2例であった。S-IgG陽性率は12歳以上、12歳未満で順に85.1 %(120/141)、1.2%(3/247)であった。12歳以上の患者のうち新型コロナワクチン2回接種歴が確認できたのは70%(84名)であった一方で、2回接種歴がある患者のS-IgG陽性率は94 %(84/89)であった。</p><p>【結論】12歳以上の肝移植患者では、抗体陽性率が高かった。新型コロナワクチンにより良好な抗体産生が得られていることが主因と考えられた。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s260_3-s260_3, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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