小腸機械灌流のための基礎検討

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説明

<p>【緒言】 腎臓からはじまり、肺、心臓、肝臓と欧米を中心にその臨床利用が進みつつある臓器機械灌流は移植医療にとって必要不可欠な技術として認識されている。しかしながら、小腸に関しては、その可能性が未知数であり、灌流条件をはじめ未解明である。本報告では、ブタ小腸を用い、機械灌流技術の適用の有用性を検討する。特に、低温保存、機械灌流保存を行い、さらに体温条件下での自己血液による常温灌流を行い、灌流時の小腸の基礎特性を明らかにする。</p><p>【方法】 ブタ小腸を摘出し、バックテーブルにおいて初期灌流を行った。摘出臓器は単純冷却保存あるいは機械灌流にわけ、保存ののちに自己血を用いた体温条件下での血液灌流を行い、小腸の灌流中の特性を観察、評価した。評価項目としては、流量、圧力を基本とし、pH ならびに酸素消費などの特性、乳酸やグルコース濃度を計測した。あわせて、画像計測により蠕動の評価を行った。また、組織的な観察も行った。</p><p>【結果】 単純冷却保存、機械灌流保存群いずれにおいても、血液を用いた常温灌流時においては、活発な蠕動運動を示した。単純冷却保存群においては一部蠕動を示さない領域が存在したが、機械灌流群では全領域において蠕動を示した。</p><p>【結語】小腸における機械灌流の基礎特性を明らかにした。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s361_1-s361_1, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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