生体腎移植におけるBKポリオーマウィルス関連腎症発症の危険因子の検証

DOI
  • 提箸 隆一郎
    秋田大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学講座
  • 齋藤 満
    秋田大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学講座
  • 浦山 健
    一般社団法人日本血液製剤機構
  • 青山 有
    秋田大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学講座
  • 山本 竜平
    秋田大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学講座
  • 藤山 信弘
    秋田大学医学部附属病院腎疾患先端医療センター
  • 羽渕 友則
    秋田大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学講座

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抄録

<p>【緒言】BKポリオ―マウイルス関連腎症(BKPyVAN)は腎移植患者の約10%に発症し、その約半数が短期間で移植腎廃絶に至る。BKPyVANに対し効率の良いスクリーニングを行うためには、そのハイリスク群を抽出するためのバイオマーカーの発見が必要である。</p><p>【対象と方法】2004年7月から2019年12月末に当院で生体腎移植を受けたレシピエントとそのドナーの247組を対象とし、BKPyVAN発症の危険因子を後方視的に検討した。また、先行研究の追試を行うべく、保存血清を用いてレシピエントとドナーの移植前抗BKPyV抗体価をELISA法で測定し、BKPyVAN発症との関連を検討した。</p><p>【結果】8組(3.2%)でBKPyVAN発症を認め、BKPyVAN群のdeath-censored graft survivalは非発症群と比べ有意に低かった(p=0.024)。背景因子等についての検討では、レシピエントとドナーの移植時年齢や性別、免疫学的リスク、ステロイドパルス療法の有無によるBKPyVAN発症への影響を認めなかった。抗体価に関する検討では、ドナーの抗体が陰性であった場合、ドナーとレシピエントのいずれかの抗体が強陽性であった場合はBKPyVANの発症を認めず、移植前抗体価とBKPyVAN発症に一定の傾向があることが示唆された。</p><p>【結語】ドナー・レシピエントの移植前抗BKPyV抗体価により、BKPyVANの発症リスクを予想することができる可能性がある。現在、他施設からも患者血清や臨床情報の供与をうけ、抗体価測定と解析を継続中である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s363_1-s363_1, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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