腎移植後の夜間頻尿と睡眠に関する調査

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抄録

<p>【目的】腎移植の生着率向上に伴い、生活の質向上が次なる課題としてあがるが、夜間頻尿の改善もその一つである。今回我々は腎移植後の夜間頻尿ついて横断的に調査した。</p><p>【方法】これまで当科で腎移植を施行したレシピエントで現在外来通院中の198例中、調査の同意が得られた43例を対象とした。OABSS、IPSS-QOL・N-QOL・ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)・排尿日誌を収集し、尿流測定と体組成分析を測定した。夜間多尿は65歳を超える患者では夜間多尿量指数(夜間尿量/24時間尿量) 0.33以上、65歳以下では夜間多尿量指数0.20以上で定義した。また、PSQI5点以下を睡眠の質良好群、6点以上を不良群と定義した。多変量解析は2項ロジスティック回帰分析を用いた。</p><p>【結果】男性28例女性15例であった。夜間頻尿は26%が1回、58%が2回、16%が3回以上であった。夜間多尿は全体の86%を占め、OABは23%で認めた。IPSS-QOLは12%が重症に分類され、34.9%で睡眠の質低下を認めた。夜間多尿について多変量解析したところ推定糸球体濾過量が高値である症例に夜間多尿の傾向が認められ(OR 1.16, 95%CI 0.99-1.36, P=0.058)、睡眠の質低下についての多変量解析では体脂肪率が高いこととN-QOLスコアが低いことが独立した関連因子であった(OR 1.13, 95%CI 1.03-1.23, P=0.008, OR 0.96, 95%CI 0.92-0.99, P=0.012)。</p><p>【考察】腎移植後の夜間頻尿患者の多くに夜間多尿や睡眠の質低下を認めた。腎移植後の飲水指導や睡眠への介入、体重管理等、個々の患者に合わせた術後管理が生活の質を向上させ得る。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s392_3-s392_3, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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