アスペルガー症候群のある児童の父親に対する意識の変容を目指した支援の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Supporting changes in awareness of a father with an asperger’s syndrome child
  • アスペルガー ショウコウグン ノ アル ジドウ ノ チチオヤ ニ タイスル イシキ ノ ヘンヨウ オ メザシタ シエン ノ ケントウ

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抄録

<p>本研究では、ネガティブ思考に陥りやすく、幼少期から父子関係に問題を抱えるアスペルガー症候群のある男児に対し、毎日三つずつ感謝を綴る活動を1年間行うことで、父親に対する見方を変容することを目的とした。毎日、家庭において一人で自己記録を行っていった。通級に来た日は、書き溜めたものを担当者が読み上げて、書かれた内容に対して感想を述べたり質問をしたり赤ペンで評価をしたりしながらフィードバックを行った。支援を始めて5カ月間は、特に主語を入れるよう指示しなかったので、自分のことを中心に記述していた。途中、誰に対する感謝なのか具体的に主語を書くよう指示をすることで、父親を主語とする個数が毎月記述されるようになった。父親が主語として記述されたものの内訳として、①父親がどこかに連れて行ってくれた行為、②父親が自分のために何かをしてくれた行為、③父親が物を買ってくれた行為についての大きく3種類に分けられた。感謝の記録帳への記述を毎日続けていくことで、自分のために父親が何らかの行動をしてくれていることに気づくことができた。「感謝」という人からしてもらったことは目で見ることができてわかりやすかったことや、人に感謝することで自分は人が助けてくれる価値ある存在だと思えるようになったからだと考えられる。</p>

収録刊行物

  • 自閉症スペクトラム研究

    自閉症スペクトラム研究 19 (2), 35-41, 2022-02-28

    NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会

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