シトクロムP450が介在する代謝物のハイスループット評価

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抄録

シトクロムP450(CYP)はほとんどすべての生物に普遍的に存在するモノオキシゲナーゼであり,遺伝子スーパーファミリーを形成している.ほ乳類のCYPは脂肪酸やステロイドなどの生体内物質のほか,医薬品や生体異物など多くの基質の酸化反応を触媒する.ヒトでは18ファミリー,57のCYP遺伝子が存在することが知られており,主にCYP1~3のファミリーが医薬品や環境化学物質などの代謝の半数以上に関与している.CYP分子種はそれぞれ基質特異性や発現誘導,阻害の特性を有しており,医薬品の開発段階や多様な化学物質の曝露による生体影響を評価するには,それらの代謝に係る分子種や寄与度および代謝反応生成物を特定することが重要である.<br>近年,分析装置などの代謝物測定機器や,化学物質の構造同定および代謝部位を予測するためのソフトウェアツールが開発され,薬毒物代謝の解析技術の進展がみられる一方で,スタンダードとなる代謝物の評価法は存在しないのが実状である.また,代謝反応に関与するCYP分子種の特定や未知の代謝物の同定には多くの時間を要するため,解析手法のハイスループット化も重要な課題である.そこで本稿では,ほ乳動物細胞株を用いたP450による代謝産物のハイスループット評価系に関する研究成果を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Nebert D. W. et al., Philos. Trans R. Soc. Lond. B. Biol. Sci., 368, 20120431(2013).<br>2) Lee C. M. et al., Drug Metab. Dispos., 50, 1182–1189(2022).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 59 (3), 244-244, 2023

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390576745204725376
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.59.3_244
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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