心身医学の原点とその展開
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- 河合 啓介
- 第63回日本心身医学会総会ならびに学術講演会 会長 国立国際医療研究センター国府台病院心療内科
書誌事項
- タイトル別名
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- The Basis and Development of Psychosomatic Medicine in Japan
抄録
<p>心身医学はドイツで発祥し,その後,米国で発展した.ドイツでは心身医学講座が各大学にある.米国ではリエゾン精神医学,基礎研究,行動医学を中心に発展した.日本は米国から心身医学を取り入れたが,目指す方向はドイツ心身医学に近い.2005年以降,日本心身医学会の会員数は減少傾向にあるが,これは大学の心身医学講座に属さなくても,標準的な心身医学を学ぶ機会が増加したことの表れかもしれない.筆者は,以下のテーマで心身医学の臨床と研究を進めてきた.①低栄養状態が心身に与える影響の研究,②摂食障害への有効な心理療法の普及,③社会的な要請に基づく摂食障害患者や家族を対象にした電話やメール相談や医療連携推進活動.そのような活動を続けているが,依然として,専門医につながる治療先の確保や遷延化した病態への治療に課題が残存している.</p><p>近年,医学の進歩によりがん,感染症,糖尿病,膠原病などは治療成績が大幅に改善した.しかしながら,摂食障害を含むストレス関連疾患は,治療法の確立が不十分で,患者とその家族の苦悩は大きい.薬物療法のみでは解決が困難なこれらストレス関連疾患には,統合的な医療を目指す心身医学の貢献が不可欠である.</p>
収録刊行物
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- 心身医学
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心身医学 63 (2), 98-104, 2023
一般社団法人 日本心身医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390576745204865536
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- ISSN
- 21895996
- 03850307
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可