100 年前の凍土研究

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タイトル別名
  • Some Researches on Frozen soil 100 years ago
  • 100ネンマエ ノ トウド ケンキュウ

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説明

わが国の凍土現象の研究は関東地方から始まった.冬の気候が比較的温暖で,土の多くが霜柱の生成条件に適していたからである.この地表に生まれる霜柱の美しさと不思議さは,多くの研究者の目を刺激したに違いない.他方,北海道などの寒冷地域では,道路,鉄道線路,建物などに被害をもたらす凍上現象が注目された.土の凍結現象の研究は,地表の霜柱の研究を発端に「地中でなにが起こっているか」という凍土の研究へと課題が移っていった.後の研究によって,凍上現象は「地中の霜柱」であることが明らかになっていく.一方水の凍結に関わる現象は,寒地の冬では日常現象である.水,土など親しみやすい素材と寒剤で得られる温度条件によって,霜柱やアイスレンズ,雪結晶などを比較的短時間に実物によって比較的簡単に作成・観察できる.このため,水に関わる発展的な実験内容は科学教育の格好の素材であり,今後の重要な課題である.凍上現象の研究は,寒冷地の凍上の被害を軽減させ,その利用にも道を拓いた.この一文は,およそ120年前の論文から書き起こし,筆者が研究途上で目にした関係論文,著作物の紹介や体験を交え,20世紀末までの凍土研究の足跡を概観している.

収録刊行物

  • 雪氷

    雪氷 75 (5), 297-314, 2013

    公益社団法人 日本雪氷学会

参考文献 (39)*注記

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