宇宙からの地形計測の発展と利用

書誌事項

タイトル別名
  • Development and application of space-borne DEM generation

抄録

人工衛星などを用いた宇宙からの地形測量は,近年まで様々な手法で行われてきた.得られた地形のデータはDEM(Digital Elevation Model)と呼ばれ,商用利用も拡大しており,氷河研究においても重要な基盤データの一つである.この解説では,光学ステレオ立体視および合成開口レーダを用いたDEM作成技術の発展を総括する.そして無償公開されている画素サイズ30mのDEM を日本国内の各種地形およびヒマラヤ氷河域で比較し,生じる差異を検証する.国内の平地から山岳地域まで3種類の地形において精度検証したところSRTM1とASTER GDEMに対して,ALOS World 3Dがすべての地形で最も高精度であることが分かった.またヒマラヤ氷河域で生じるデータの欠損は,SRTM1では急斜面に多く存在するのに対して,ALOS World 3Dでは積雪の可能性が高く,平坦で標高の高い地表面に多く存在する傾向が明らかになった.山岳氷河の研究においては,これらの精度や特性の差異を考慮したうえで,適切なDEMを選択することが望まれる.

収録刊行物

  • 雪氷

    雪氷 79 (1), 43-61, 2017

    公益社団法人 日本雪氷学会

参考文献 (38)*注記

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