機能性食品に関する実証的産業組織論の課題

DOI HANDLE オープンアクセス
  • キムダウム
    九州大学大学院生物資源環境科学府農業資源経済学専攻食料経済分析学分野
  • 髙橋 昂也
    九州大学大学院農学研究院農業資源経済学部門農業資源経済学講座食料経済分析学分野
  • 前田 幸嗣
    九州大学大学院農学研究院農業資源経済学部門農業資源経済学講座食料経済分析学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Problems in Empirical Industrial Organization of Functional Foods

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抄録

本稿では,機能性食品市場の概況整理や先行研究のレビューを通して,機能性食品を実証的産業組織論の観点から考察する際の課題を明らかにした.第1 に,機能性食品市場の概況整理から,機能性食品がフードシステムにおける主体間のパワーバランスに与える影響について考察するには,差別化財を前提として,市場の不完全競争性(市場支配力やパワーバランス等)について分析する必要があることが明らかになった.第2 に,不完全競争性に関する先行研究のレビューから,機能性食品市場の不完全競争性の分析に当たっては,「機能性成分の含有量」および「健康強調表示の有無」という製品属性に着目した分析を行う必要があることが明らかになった.第3 に,機能性食品に関する先行研究のレビューから,「機能性成分の含有量」および「健康強調表示の有無」という製品属性に着目した上で,実際の購買データを用いて機能性食品市場について分析を行うことが,日本だけでなく世界的にも重要な課題となっていることが明らかになった.以上から,機能性食品を実証的産業組織論の観点から考察する際には,差別化財市場を前提として,「機能性成分の含有量」および「健康強調表示の有無」という製品属性に着目した上で,実際の購買データを用いて機能性食品市場の不完全競争性について分析を行うことが課題であると考えられる.特に,上記の課題のうち,「健康強調表示の有無」については研究が行われていないため,分析を行うことが求められている.

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