世代重複経済におけるRawls規準下の最適人口

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  • Optimal Population under Rawls' Criterion in an Overlapping Generation Economy
  • セダイ チョウフク ケイザイ ニ オケル Rawls キジュン カ ノ サイテキ ジンコウ

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抄録

狩猟を専らとする原始社会において,今日の勢子と狩子に準ずる役割の分担化がすでに始まっており,それは,また,社会の人々の紐帯を確かなものにしていた筈である。後に塤(けん)と呼ばれる卵型の土笛の原形となる呼子が合図の道具として用いられていた筈である。笛の合図が聴取可能で,絆の確かさを感取し得る距離に限定される空間の中で,自ずと最適な社会規模,したがって最適な人口規模が形成されてくる。 農業革命を経て社会は定住化し,フロー型の狩猟社会に相違して様々な正負のストックが貯えられていく。このとき,社会規模,そして人口規模は定住した土地の自然扶養力(carrying capacity)に制約されるのみならず,密集化に伴なうウィルス対人間の間の捕食者-被食者関係がもたらす疫病の発生にも制約される。もはや,最適な人口規模のあり方は,自明ではなくなる。さらに,都市が勃興し,その都市間を結ぶ長距離交易が発達するにつれ,疫病伝播も広域化する。最適人口規模のあり方は,増々,自明でなくなっていく。 しかるに,自然法を礎とする(新)古典派経済学は,経済成長を論ずるに当たり,人口成長率を神の差配に委ね,経済体系内の諸々の事象とは独立であるとみなし,人口成長率は一定で,幾何級数的に増加すると仮定する。 反古典派的立場から,所与の環境の下で最も好ましい人口密度の規模を問うWicksellの問題提起の後に続く議論の展開においても,最適概念自体が定着をみせたとは言い難い。 以下では,まず,功利主義が支配する世代非重複経済の文脈で,次いで,功利主義に代わるRawlsマキシミン規準が適用される世代重複経済の文脈で,人口成長率を制御変数とするところでの最適人口成長経路のあり方が検討される。

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