愛知県南知多町天神山遺跡出土の土器分析からみた遺跡構造の解明

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タイトル別名
  • Exploring the site structure from the analysis of pottery at Tenjinyama site, Minamichita town, Aichi prefecture
  • アイチケン ミナミチタマチ テンジンサン イセキ シュツド ノ ドキ ブンセキ カラ ミタ イセキ コウゾウ ノ カイメイ

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抄録

天神山遺跡は愛知県南知多町に所在する縄文時代早期後半の遺跡である.1956年に名古屋大学文学部考古学研究室によって発掘調査が行われ,出土している縄文土器から,天神山式という東海地方の早期後半の示準となる土器型式が設定された.しかしながら,詳細な調査・資料の報告は刊行されていない.また,縄文時代早期後半はアカホヤ火山灰の降灰や縄文海進による海水面の上昇など,多くの環境変動が起こった時期でもある.天神山遺跡の資料は環境変動下における人類の行動変化を調べるうえで有効な資料であることが期待される.そこで本論では,出土した石器,土製品,土器の一部とその絶対年代を提示し,縄文時代早期後半の行動変化について考察する.天神山遺跡の調査はA–Kの11区からなるトレンチを設定し,表土から10cmずつの最大15層からなる人工層位で発掘し,出土土器は層位的に変化している.人工的に設定された分層を同じ時代ごとの土器群にまとめ直すために,土器型式別の質量比を用いた階層型クラスター分析を行った.さらに,文化層間でB区・C区出土土器の各属性も比較した.クラスター分析の結果,1–7層の第1文化層,8–9層による第2文化層,10–15層からなる第3文化層の3つに再分類できた.これらの文化層間では土器の総量が増え続けており,遺跡が廃絶するまでの間,遺跡の利用が活発化していた可能性を示唆している.要因に関してはまだ不明だが,本論では東海地方の縄文時代早期後半の人間集団の行動における新たな観点を提示することができた.

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