自閉スペクトラム症者の“かわいい”の認知:ベビースキーマへの視線に着目して

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タイトル別名
  • Cognition of <i>Kawaii</i> in Individuals with Autism Spectrum Disorder: Focusing on Gaze and Baby Schema in Human and Animal Faces
  • ジヘイスペクトラムショウシャ ノ"カワイイ"ノ ニンチ : ベビースキーマ エ ノ シセン ニ チャクモク シテ

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抄録

<p>本研究の目的は自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;ASD)者の“かわいい”認知に対するベビースキーマ(Baby schema;BS)の影響および“かわいい”認知が視線に与える影響を検討することであった。4~45歳のASD者22名,3~48歳の定型発達(TD)者25名(最終分析;ASD16名,TD24名)に対し,BS度が5段階の顔刺激へのかわいさ評定(5件法)を求め,その際の視線を計測した。結果,主に以下3点が認められた。①かわいさ評定:ASDの有無・BS度を独立変数,かわいさ評定を従属変数とする2要因分散分析の結果,ASD者はBS度がかわいさ評定に影響を与えなかった。②視線:ASDの有無・Area Of Interest(興味関心領域;AOI)を独立変数,注視時間を従属変数とする2要因分散分析の結果,ASD者はTD者に比べ目の注視時間が短かった。③かわいさ評定が視線に与える影響:ASDの有無・かわいさ評定別AOIを独立変数,注視時間を従属変数とする2要因分散分析の結果,ASD者はかわいさを高く評定した刺激の目の注視時間が有意に長かった。以上よりASD者はBS顔刺激を呈示された際,刺激を“かわいい”と評定した際には刺激の目付近を注視する可能性が示唆され,学習における注視の促しなどASD者支援における“かわいい”の適用可能性の基礎となる知見が得られた。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 32 (2), 68-78, 2021

    一般社団法人 日本発達心理学会

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