シャルル・フーリエの建築構想における「循環」

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  • Flow and Circulation in Charles Fourier’s Architectural Projects

抄録

フランスの思想家シャルル・フーリエ(1772- 1837年)は、その理想社会構想において、新しい社会秩序は新しい建築を必要とするとの発想に基づき、共同体内の個々人の行動を促すような建築案を提示した。たとえば、共同体を構成するメンバー間の紐帯を強めるために、系列房(セリステール)(séristère)や回廊式通路(リュ= ギャルリ)(rue-galerie)など、「流れ」や「循環」を重視した建築空間を構想している。この空間における人の「流れ」や「循環」という発想は、同時代の都市や建築と身体の関係を考察するうえでの鍵語でもあった。フランス革命後の18世紀末から19世紀にかけては、ルーヴル宮グランド・ギャルリやパサージュなど、遊歩のための回廊空間が次々と作られた。また、フーリエとほぼ同世代の思想家サン=シモンに影響を受けた技術者たちは、やがてフランスの都市計画・国土計画において「流れ」や「ネットワーク」を重視してゆくこととなる。  本稿は、建築や都市によって創出される空間の性質と、人間の身体の関係を分析する研究の一部をなすものである。建築・都市空間と身体の関係にはいくつかのレベルがある。フーリエに即して考えるならば、都市や建築の構造と人体とのアナロジー(例えば「循環」の比喩)というレベル、それから空間の構造が人間の身体(身体の規律訓練や身体を伴う活動主体による行動)に及ぼす影響や統制というレベルである。本稿で扱うのは、もっぱら後者の文脈での「身体」である。

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