個人的経験、アイデンティティ、不信感の絡み合い

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Entanglements of Personal Experience, Identification, and Mistrust
  • Views of Filipinos in Osaka and Kyoto on the 2022 Philippine Presidential Elections
  • 2022年フィリピン大統領選挙に関する大阪と京都のフィリピン人の見解

抄録

本稿は、大阪と京都に居住するフィリピン出身者が、第17代大統領年としてフェルディナンド “ボンボン”マルコス・ジュニアを選ぶかどうかの意思決定に個人的経験、アイデンティティ、不信感がどのような位置を占めるかを探ることを目的としたものである。マルコス・ジュニアの政敵であるカトリック教会のメンバー、市民社会団体や「専門家」、政治に大きな影響力を持つ富裕層のビジネスマン、知識人などがさまざまな問題を投げかけ、絶えず「ファクトチェック」と有権者の「教育」活動を行ってきたにもかかわらず、マルコス・ジュニアを選ぶ人が多数を占めていた。 本稿のデータ収集には、質的研究手法を用いた。フィリピンの選挙に関連する活動の観察と日本におけるマルコス・ジュニアの支持者へのインタビューを含むデータ収集は、選挙の4ヶ月前の2021年12月から2022年4月にかけて行った。その結果、パトリシア・リクアナンがフィリピン人の弱い価値観として分類する「極端な個人主義」や「カニャカニャ症候群」、「自己分析・内省の欠如」などが、大阪と京都のフィリピン人の個人的な語りには必ずしもみられないことが明らかになった。彼らにとって、今回の選挙は大統領候補者同士の競争というだけでなく、個人的な戦いでもあるのだ。彼らの個人的な経験は、リーダーを選ぶ際に交錯する。在日フィリピン人が選挙を個人化する術は、自分たちの生活について熟考し、自分たちの状況を管理することを可能にしている。

収録刊行物

  • アジア太平洋論叢

    アジア太平洋論叢 25 (1), 39-53, 2023-03-31

    国立大学法人 大阪大学グローバルイニシアティブ機構

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577078290599040
  • DOI
    10.32312/transasiapacific.25.1_39
  • ISSN
    24349054
    13466224
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ