ミクロネシアコスラエ島のアルカリ火山岩類中に含まれる超塩基性捕獲岩類

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タイトル別名
  • Alkaline volcanic rocks and ultra-mafic xenoliths from alkaline volcanic rocks of Kosrae Island, Micronesia.

抄録

<p>コスラエ島は,東カロリン諸島において最も東に位置(オントンジャワ海台の北端を構成)し,カロリンホットスポットでは最も若い火山島である.その多くは水底で活動した火山岩であり, 下位より塊状の溶岩流から構成される下部火山岩類,フィーダーダイクおよび多量のハイアロクラスタイトから構成される中部火山岩類、 大規模貫入岩類,陸上で活動した上部火山岩類の4つの火成活動に区分された(坂本, 1994).中部火山岩類と大規模貫入岩類との間には,約150万年の活動休止期があり,礫層が発達している.火山岩の産状は,下位から上位に向かい活動環境(水深)が浅くなる事をしている.下部及び中部火山岩類は,ピクライト・カンラン石玄武岩・単斜 石カンラン石玄武岩・カンラン石単斜輝石玄武岩・アンカラマイト・無斑晶玄武岩から構成され,大規模貫入岩類および上部火山岩類はカンラン石玄武岩・単斜輝石カンラン石玄武岩化らなり,石基中にネフェリン・メリーライト等の準長石が確認された.斑晶や石基中の輝石がチタン普通輝石であったり,ネフェリン等が確認される事からアルカリ玄武岩であることが推定された(坂本, 1995).希土類の岩石化学特徴からスパイダー図を作成した結果,全ての火山岩は,希土類が高い比を示す典型的な海洋島アルカリ玄武岩であり,部分溶融程度の低いマグマに由来していると推定された(坂本, 2022).下部および中部火山岩類中には,ダナイト・ウェールライト・ハルツバージャイト等の塩基性捕獲岩が多く産し,上位に向かい捕獲岩のサイズが小さくなり,上部火山岩類中では捕獲結晶のみが確認された.これら捕獲岩中のカンラン石には, キンクバンドを呈した物も観察され,その多くはマントル由来である事が推定された.中部火山岩類中の捕獲岩の中には,含ガーネット・ペロブスカイト・スピネル・単斜輝岩が存在し,中部〜下部マントルに由来する物と推定される.オントンジャワ海台(OJP)北方で行われた、地震波構造探査およびトモグラフィー解析結果から,OJP周辺では厚い地殻が形成されている事が報告された(Obayashi et al., 2021).さらに特筆すべきは、コスラエ島付近では、600km付近で遅い弾性波速度の物質が確認されており、カロリンホットスポットの起源が深いことを示している(Obayashi et al., 2021).コスラエ島の火山岩類は,典型的な海洋島アルカリ岩であり,多くのマントル捕獲岩も報告されている。しかし、その多くは上部マントル起源の捕獲岩であり、深度方向の情報が不確定であったが、地震波構造探査結果とあわせることで、コスラエ島の起源マグマはより深い可能性が推定される。</p><p>引用文献</p><p>坂本泉(1994):東カロリン諸島,コスラエ島における火山岩類I -コスラエ島の地質学的特徴-.東海大学紀要海洋学部,38,185-203.</p><p>坂本泉(1995):東カロリン諸島,コスラエ島における火山岩類II -その記載岩石学的特徴-.東海大学紀要海洋学部,39,128-158.</p><p>坂本泉(2022):ミクロネシアコスラエ島のアルカリ火山岩類と超塩基性深成岩類.星野通平教授追悼論文集,77-94.</p><p>Obayashi, M., Yoshimitsu, J., Suetsugu, D., Shiobara, H., Sugioka, H., Ito, A., Osse, A., Ishihara, Y., Tanaka, S., and Tonegawa, T. (2021): Interrelation of the stagnant slab, Ontong Java Plateau, and interplate volcanism as inferred from seismic tomography. Scientific reports, 11, AN.20966.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577133287108608
  • DOI
    10.14863/geosocabst.2022.0_124
  • ISSN
    21876665
    13483935
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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