第10回学生のヒマラヤ野外実習ツアー(2022年3月)報告と第11回実習ツアーへの誘い

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書誌事項

タイトル別名
  • Repor of the 10th Student Himalayan Field Exercise Tour and Invitation for the 11th field tour.

抄録

<p>2012年より毎年実施されてきた学生のヒマラヤ野外実習ツアー(SHET)は、2022年3月に第10回目が実施された(詳細は吉田,2022)。実習ツアー出発2週間前の2月20日段階で、感染危険度の基本的な指標とされる新型コロナ感染症10万人当り新規感染者数は、ネパールは日本の約50分の1であった(OテレNews,2022)。また、ネパール現地の情報でも、当時すでにネパールでは新型コロナ感染症の蔓延問題は殆ど完全に収まっており、街も大学も平常に戻っているとのことであった。実際にネパールは、ツアー始めの3月6日には154倍、ツアー終わりの3月18日には257倍も日本より安全だったのである。日本社会では旅行、とりわけ海外旅行自粛ムードが一般的であったが、それは上記のようにネパールに関しては実態を踏まえないものであった。 しかし残念ながら日本では多くの大学、教員、学生がそのムードを共有していたようで、本実習ツアー(SHET-10)の参加希望者は12月末の段階で10人しか居らず、さらに2月中旬には5人が参加キャンセルした。結果としてSHET-10チームは日本学生5人、ネパール学生1人と日ネの教員各1人の総勢8人となった。出発前日にはPCR検査陰性証明書取得のため、参加者全員が筆者の自宅に宿泊した。 以上の経過の後3月4日にカトマンズに到着して空港を出てからは、全てががらっと変わったのであった。カトマンズのホテルもレストランも、街中も大学も全く平常であった。そのような状況の中、野外実習ツアーは全く自由に、例年通りのコースと日程(図1)で支障なく実施できたのである。ツアー期間中天気は良く、参加者の健康問題も無く、始から終わりまで真に快適なツアーであった。参加者が少なかったため、毎夕の勉強会では全参加者が英語で複数回発表するなど、例年より濃度の高い学習ができた。野外ツアー後の日ネ合同報告会も全員がパワーポイントを活用し、英語で10分前後の発表と質疑応答をするなど、従来より高いレベルであった。 帰国時には、出発時と同様に乗継空港と日本入管の検査に備えて帰国出発前の2日間はカトマンズで待機せねばならなかった。当初日本帰国後は7日間の自宅待機とされていたので、筆者の自宅に全員が滞在する準備をしていたが、実習ツアー期間中に日本の水際対策が緩和されて関空のホテルでの観察拘束3日間だけとなっていた。 今回はコロナ騒ぎの影響で航空運賃は例年の5割から9割高く、またネパール滞在日数も増え、加えて高額のPCR検査費用などもあって参加者1人当たりのツアー経費は332170円と、過去9年間平均であった187433円の約1.8倍になった。ツアー出発前の2月下旬には参加費がかなり高額になると予想されたため、クラウドファンディングを開始した。その結果4月19日までに総額354000円の支援金が寄せられた。他にも2組織からの寄付金もあり、参加者1人当り131170円の補助ができ、1人当りの参加費をほぼ20万円に納めることができた。 無事、成功裏に終了できた本実習ツアーにご関心、応援あるいはご推薦下さった皆様、ご後援名義を下さった日ネの関係5学会、クラウドファンディングにご支援下さった28人の皆様に深く感謝します。なお、第11回の学生ヒマラヤ実習ツアーは来年3月に実施予定です。詳細は学生ヒマラヤホームページ(2022)で公開しています。 なお、来年以後のSHET参加学生の参加費補助を目的として、学生のヒマラヤ野外実習プロジェクト主宰による通年常時受け付けのクラウドファンディング「学生ヒマラヤ-学生にヒマラヤで学ぶ機会を!」を立ち上げ、広くご関心の皆様にご支援をお願いすることにしました。趣旨にご賛同、ご興味の方は下記「学生ヒマラヤCFサイト」(www.gondwnainst.org/shet-cf)をご覧下さるよう、お願いします。 引用文献 学生ヒマラヤホームページ,2022, www.gondwanainst.org/geotours/Studentfieldex_ index.htm OテレNews, 2022, データとグラフで見る新型コロナウイルスwww.ntv.co.jp/ news24/corona_map/,2022年6月7日閲覧. 吉田勝,2022(編),ヒマラヤ造山帯大横断2022.フィールドサイエンス出版,191頁. https://www.data-box.jp/pdir/8d74595d276149a99b6ffac68d9b6391</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577133287278848
  • DOI
    10.14863/geosocabst.2022.0_366
  • ISSN
    21876665
    13483935
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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