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A Discussion of The Scale of Ethnic Businesses and Their Potential for Expansion into The Mainstream Market in the Host country
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- Kataoka Hiromi
- Kindai Univ.
Bibliographic Information
- Other Title
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- 「エスニック・ビジネス」の外部一般市場における需要に関する一考察〜「排除」「統合」という中間項から「エスニシティ」を語ることを一旦やめてみる〜
Description
<p>1. 「エスニシティ研究」の本質主義的な側面?</p><p> エスニシティとは, 「他の同種の集団との関係性のなかで, 出自と文化的アイデンティティを共有している人々による社会集団, または共有意識の総体」(『改訂版 最新地理学用語辞典』原書房)のことを指す.我々は, エスニシティの概念あるいはエスニシティ研究を, とりわけ西洋諸国あるいは植民地研究から取り入れ, それに倣ってきた.そのため, 国内研究においては/おいても, 「統合」「排除」「包摂」をはじめとした中間項からその様態が論じられることが多く, 意識的/無意識的にそれがエスニック集団の「弱者性」の強調に繋がることもあった.</p><p> 「規範的なものの構築性」を指摘する脱構築的な議論が, 「構築されていないもの」の存在を本質主義的に価値づけている点を批判したのはラトゥールだが, 「エスニシティ研究」の議論は, 果たしてその傾向にないと言えるだろうか.そしてまた,議論上で用いられる中間項に過不足はないであろうか?それとともに,我々は「エスニシティ研究」を直輸入しすぎたあまり, その国固有の「エスニシティないしはエスニック集団に向かうスタンス」を蔑ろにしてきてはいないだろうか?日本に存在する, ホスト社会側がエスニック集団に対し持つ特有のスタンス・意識・経験の部分を無意識に見逃してきたということはないだろうか?</p><p></p><p>2. エスニック・ビジネスの外部一般市場における需要</p><p> 上記の背景もふまえ, 本論では「エスニック・ビジネス」への需要を分析し,同ビジネスの外部市場への進出可能性を検討する.ただし, 片岡(2016)にもあるように「エスニック・ビジネス」で供給される「エスニック」なものやそこで提供されるあるいはそこに存在している表象・文化は,すでに加工されたもの,すなわち戦略的に強調・歪曲・「再記号化」されているものも多く,また,その境界の設定は,文化=ネイションとしての枠組みに準じてなされることも多い.それゆえ本稿での研究方法は,エスニック集団やエスニシティ,ナショナルなものへのある種の固定的見方を増長してしまう危険性を持つことには留意する必要がある.</p><p> にもかかわらず,本稿のツールとしてエスニック・ビジネスを用いた目的は,ホスト社会とエスニック集団との関係性を議論する際に,エスニック集団側の「供給」行動へ向けられるホスト社会側の能動的行動,すなわち外国(的)なるものに対する「需要」や「消費」という側面を分析することにより,共生や統合,排除,包摂ほかエスニシティに関わる「普遍的」な「中間項」を用いた議論とは別の界面から,ホスト社会側がエスニック集団(正しくは「エスニック集団がホスト社会へ向けて供給する「エスニック」ないしは「外国(人)的」なもの」)へ向かう時の視点や意識や姿勢の一端を明らかにし,地域におけるエスニシティが介在する課題の解決に向けた「何か」を見出せるのではないかという淡い期待を抱いたからでもある.</p><p></p><p>3. 無色透明なエスニック集団?</p><p> ところで本稿では,従来の日本におけるエスニック・ビジネス研究では扱われてこなかった欧米諸国のエスニック集団によるビジネスもエスニック・ビジネスに加え分析する.これら集団は日本において,エスニシティに関わる地域の課題やホスト社会住民との軋轢をさほど生じさせない,ある種の「無色透明な」エスニック集団となることも多かった.もちろんこれら集団を「エスニック」集団とするか否かの議論は,今後改めて詳細に行う必要があるが,少なくとも,人口規模という側面からみたマイノリティに関わる現象を解明するということもエスニシティ研究の目的のひとつであるならば,日本においてこれら集団の存在ないしは現状を語ることなしに研究を進めることは不十分と言わざるを得ない.ホスト社会住民が持つ西欧諸国エスニック集団ないしは彼らが供給する財・サービスに対する意識や需要を明らかにすることにより, もしかすると,前述した「日本独自の『エスニシティ』に対する捉え方」の存在を指摘できるかもしれず,日本におけるエスニック・ビジネス研究における新たな視点を付加できる可能性も期待できよう.</p>
Journal
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- Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers
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Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2023s (0), 274-, 2023
The Association of Japanese Geographers
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390577144549405952
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- Text Lang
- ja
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