ペルー、ナスカ台地の地形分類図(1)

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タイトル別名
  • Geomorphological classification map of Nasca Terace surface, Peru(1)
  • --- based on 2x2m grid DEM
  • ――2m格子DEMによる

抄録

<p>【目的】ペルー南部ナスカ台地の地形図は縮尺1:50,000図(間隔25m等高線と涸れ谷線)および主部の1:10,000地上絵分布図(主曲線間隔10m、面上5m 国土地理院1993)がある。地域の地形を説明する中縮尺地形分類図、地上絵の保全のための大縮尺(微)地形分類図はなかった。LiDARによる2×2mDEMを用いて中・大縮尺の地形分類図の作成を試みた。あわせてわが国における地形分類のDEMの利用の履歴を振り返る。ナスカ台地の大縮尺空中写真・人工衛星画像処理を利用した微地形分類については別に述べる。 </p><p>【地形概要】アンデス山地西麓、海岸から約50km内陸にあるナスカ台地は広がり約20×15kmの開析扇状地である。扇面高度は約500~300m、南・西・北は段丘崖(比高約20~180m)、東は丘陵(比高200m前後)に限られる。丘陵の麓に小さく急な扇状地群が台地面に張りだしている。これらの水系を集めるマホエラス川を境に北西側の台地表面は暗赤色の(安定)部分が多く、地上絵の集中地区であり、南東側は台地面が総体に明色であり地上絵は少ない。南東側は浅い谷(ケブラダ。通常涸れ川)が多く、稀な強雨の流水によって河床が更新され、粘土質砂が堆積する。台地面では日常的に風成砂が舞うが集積するところはほとんどなく、礫原である。礫層の露出が風蝕・水蝕に抗する効果を持つ。</p><p>【図化範囲・地上絵・DEM・空中写真】地上絵が密なナスカ台地北東部の東西4.8km、南北4kmの範囲を例示する。LiDARの2×2m格子DEMを用いた(1×1mDEMでは精粗あり)。地上絵は2種あり、図形 (線・矩形など。現地観察では堤の比高が10~数10cm)を間隔5cm・10cm等高線図で図化できるが、図像(動物・植物などの絵。線幅数10cm、比高10cm未満)はまったく認識できない。Quick Bird画像(分解能0.6m)、Google Earth画像でみえる図像は色の違いや影で認識していることが判る。 </p><p>【中縮尺地形分類図の仕様例1:25,000地形分類図の例1 等高線間隔2m,線幅0.3mmで段丘崖は単色ぬりつぶしとなる。傾斜3度以上の点群によってケブラダの岸、点密度の差で北東部丘陵麓の扇状地群の新旧判別ができる。水系を0.4mm線で加える。例2 丘陵麓の扇状地群の新旧判別は尾根型格子点の密度×等高線密度でも読める。 </p><p>【大縮尺地形分類図の仕様例】 1:3,000図にて扇面上微起伏と図形との対応例 ケブラダと地上絵図形との切りあいは等高線間隔0.5m(線幅0.5mm)と凹斜面 (TPI 0未満)の表示で検討できる。1:1,000図にて扇面上微起伏と図像の対応例 等高線間隔を5cm(線幅0.4mm)とし、凹斜面 (TPI 0未満) のみを表示。図像の写真画像のトレース線を重ねると、強雨時に地上絵が損傷されやすい箇所を説明できる。局所的で不定形あるいは図形内の白い粘土質砂の分布は扇面上の狭い雨域で洪水流が生じたことを示唆する。図形内で顕著なのは礫が人為的に攪乱除去されたためである。</p><p>【DEMによる地形分類】1985年頃国土調査土地分類1:50,000地形分類に傾斜区分への転換が検討されたが、当時の傾斜区分は等高線図から手くくりであったため、中縮尺図の傾斜区分の意味や各県分類方式の継続性から導入された例は稀であった。50mDEMの利用(中縮尺図で尾根・谷を表現)を経て、5mDEMによってようやく実用化された。その限界の一例は2022春大会で示した。今回の2mDEMによる地形表現は点群による色表現であり、点群を総括したくくり線はないので分類図と呼べるかは議論の余地があるが、分類図は用途によって仕様が選ばれてよいと思われる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577144549448960
  • DOI
    10.14866/ajg.2023s.0_93
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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