プロト関係としてのだじゃれ音楽

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書誌事項

タイトル別名
  • Pun-filled Music as a Proto-relation
  • On Normative Relations in Contemporary Japanese Citizen-participatory Music
  • 現代日本の市民参加型音楽実践における規範化された「つながり」をめぐって

抄録

<p>本論文は、現代日本における行政を主催とした市民参加型の音楽実践〈千住だじゃれ音楽祭〉を研究対象とし、そこで探究される「だじゃれ音楽」なる新たな音楽の形態と、行政が期待する「つながり」との相互関係を明らかにするものである。それによって、現代日本において制度的に規範化された関係としての「つながり」やそれに基づく音楽観を相対化するとともに、その只中において別様の関係や音楽のありようを模索する「ポスト関係論」的な音楽研究の可能性を提示することを目指す。</p> <p>だじゃれ音楽において見られる「だじゃれ的」な関係とは、思いついただじゃれをつい言ってしまうように、内的な必然性にしたがってふるまうことで、外的な規範から「浮いた」ままの状態を保つような関係である。一方このような関係は、「つながっているか、いないか」を問う行政的なつながりの規範に基づくと、「つながっているような、いないような」ものとして映り、それによって両者の関係は「浮いた」ままにされ、音楽実践の制度的な基盤は保たれ続けている。</p> <p>以上の記述を通じて、人類学者にとっての関係概念や音楽概念を対象に即して組み直していく戦略としての「ポスト関係論」を、あらゆる関係へと開かれているがそれ自体は関係に満たない「プロト関係論」によって実行することを試みる。</p>

収録刊行物

  • 文化人類学

    文化人類学 87 (3), 421-440, 2022-12-31

    日本文化人類学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577309350932608
  • DOI
    10.14890/jjcanth.87.3_421
  • ISSN
    24240516
    13490648
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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