心理動詞と“了”の共起関係について : 日本語母語話者が産出した誤用例の分析を通して

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  • On the Co-occurrence of Psych verb and“ le(了)”: An Error Analysis for Japanese Mandarin Learners
  • シンリ ドウシ ト"リョウ"ノ キョウキカンケイ ニ ツイテ : ニホンゴ ボゴワシャ ガ サンシュツ シタ ゴヨウレイ ノ ブンセキ オ トオシテ

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抄録

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日本語を母語とする中国語学習者の会話や作文において、(1)-(3)のように、心理動詞の後ろに不必要な“了”が付けられていることがよく見られる。(1)* 看到那些高楼时,我吃惊了。(それらのビルを見た時、驚いた。)→看到那些高楼时,我很吃惊。(2)*爬上长城,我感动了。(万里の長城にのぼって、感動した。)→爬上长城、我很感动。(3)这本书300页!我读完了,非常累了。(この本は300頁!私は読み終えたが、非常に疲れた。)→这本书300页!我读完了,非常累。このタイプの誤用について、先行研究では指摘されているものの、誤用の原因および教学上の対応策はあまり検討されていない。本稿では、日本語母語話者が産出した誤用例への分析を踏まえ、中日両言語の比較対照の観点から、中国語の心理動詞と“了”の共起関係について論じた。まず、中日両言語の心理動詞における統語的相違の分析を通して、中国語の心理動詞の特徴を明らかにし、さらにその特徴が日本語母語話者にとっての盲点となりやすいことを指摘した。次に、中国語の心理動詞と結合する場合の“了”の役割について考察を加えた。過去の助動詞「た」の発想により心理動詞の後ろに付けられた“了”は、アスペクト助詞“了1”ではなく、語気助詞“了2”として働くことを明らかにした。最後に、“了”を伴った心理動詞という表現と程度副詞“很”など伴った心理動詞という表現の差異を分析した上で、中国語教育に対する提案も行なった。

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