穿刺吸引細胞診で多数の破骨細胞様巨細胞を認めた浸潤性乳癌の 1 例

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  • A case of invasive ductal carcinoma with multiple osteoclast-like giant cells in fine needle aspiration cytology specimen

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抄録

<p>背景:破骨細胞様巨細胞(osteoclast-like giant cell:OGC)の出現を伴う乳癌は 0.5~1.2%とまれである.われわれは,細胞診検体に多数の OGC が出現した浸潤性乳管癌の 1 例を経験したので報告する.</p><p>症例:30 歳代,女性.右乳腺 BD 領域に 3 cm 大の腫瘤を自覚し受診した.穿刺吸引細胞診で悪性と診断され,手術が施行された.細胞診では,結合性の強い重積集塊や孤在性の腫瘍細胞とともに,多数の多核巨細胞を認めた.腫瘍細胞の核は比較的小型ながら核形は軽度に不整で,核クロマチンは増量し,結合性が低下していた.多核巨細胞はライトグリーン好性の豊富な細胞質に,クロマチンの淡い数 10 個の核を有していた.組織学的に腫瘍細胞は充実胞巣状,篩状に増殖し,CD68 陽性の OGC が混在していた.充実型浸潤性乳管癌と診断し,免疫染色にてホルモンレセプター陽性,HER2 陰性であった.</p><p>結論:乳腺細胞診ではまれながら間葉系腫瘍や種々の組織型の乳癌に OGC が出現する可能性があり,その多くは luminal 乳癌である.OGC にとらわれることなく,それ以外の細胞に基づいて細胞診断を進める必要がある.</p>

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