真性ポケットを伴う薬物性歯肉増殖症に対し審美的な配慮をした1症例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Esthetic Consideration for Drug-induced Gingival Hyperplasia with True Pockets: A Case Report

抄録

<p> 目的:仮性ポケットが生じる薬物性歯肉増殖症に対する歯周外科手術は,外斜切開による歯肉切除が一般的だが,本症例では広汎型慢性歯周炎による真性ポケットも伴っていたため,ウィドマン改良型フラップ手術の際に審美面も考慮しながら行った.しかし,術後上顎前歯部唇側面にわずかに線維性歯肉腫脹が残存したため,修正治療としてCO2レーザーを用いたところ,良好な結果が得られたため報告する.</p><p> 症例:患者は57歳女性,近医で歯槽膿漏がひどいと言われたことを主訴に来院した.既往歴として高血圧症を有しており,8年前から1日当たりアムロジピン錠5mgを服薬している.服薬当初より歯肉の腫脹を自覚していた.1カ月前から上顎右側小臼歯の歯肉が腫脹したため,近医を受診し,陶材焼付金属冠を除去後,スケーリングを行ったが,改善が認められず当院に紹介来院した.初診時には全顎的な歯肉の発赤,線維性の腫脹を認め,特に上下顎前歯部の線維性の腫脹は顕著であった.また,エックス線写真から全顎的に軽度~中等度の水平的骨吸収を認めた.以上から,広汎型慢性歯周炎ならびに薬物性歯肉増殖症と診断した.歯周基本治療を行い再評価後,真性ポケットが残存したため全顎に対し,ウィドマン改良型フラップ手術を施行した.その後,真性ポケットの大幅な改善を認めたが,上顎前歯部唇側面に線維性歯肉腫脹が残存したため審美面と清掃性を考慮し,修正治療としてCO2レーザーによる歯肉切除を行い,経過観察の後,最終補綴物を装着した.</p><p> 結論:今回,真性ポケットを伴う薬物性歯肉増殖症に対し審美的な配慮をしながら歯周外科手術を行った結果,予後は良好に経過している.今後,レーザーを用いることにより治療の選択肢が広がる可能性を示唆することができた.</p>

収録刊行物

  • 日本歯科保存学雑誌

    日本歯科保存学雑誌 66 (2), 138-146, 2023-04-30

    特定非営利活動法人 日本歯科保存学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577508807448320
  • DOI
    10.11471/shikahozon.66.138
  • ISSN
    21880808
    03872343
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ