<研究ノート>世界文化遺産のフィールド―「富士山」に係わるNOx の二次物質の動態(1)静岡県富士宮市の流域圏について

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タイトル別名
  • < Research Note>The World Cultural Heritage Sites: Dynamics of NOx Secondary Substances Related to Mt. Fuji(1) Watershed Area of Fujinomiya City, Shizuoka Prefecture, Japan

抄録

世界遺産の保全の為には、河川や植生の自然破壊のみならず、大気由来の汚染にも着目することが重要である。世界文化遺産の構成資産である白糸ノ滝等を有する富士宮市およびその周辺において、オゾン濃度の季節変動の解析および潤井川水系、芝川水系のNO3 ?濃度を集中観測した。オゾン濃度について1 時間値の3 年間の平均値は東京タワーとの比較ではほぼ同じ程度であり28.6 ppb であった。季節変動は太陽黄経による24 区分別で東京タワーとの比較では8/7~ 22 に高くなる傾向であった。潤井川水系および芝川水系における河川中のNO3 ?濃度は平均101 μmol/L となった。河川中のNO3 ?濃度は標高の低いところで高かったが、白糸ノ滝では標高が高いにもかかわらず146 μmol/L と相対的に高かった。世界文化遺産である白糸ノ滝は、敷地の良好な自然資源に基づいて成立していると考えられるが、自然資源が一定の環境基準を満たしているか、乾性沈着を含む大気環境や水質等を調べ、後世に清水として受け継ぐことも、世界文化遺産の保護につながると考えられる。

収録刊行物

  • 世界遺産学研究

    世界遺産学研究 9 1-11, 2023-05

    筑波大学人間総合科学学術院世界遺産学学位プログラム

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