ホストのホスピタリティが短期海外研修に与える影響― 研修参加学生の意識調査結果から―

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抄録

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本研究は,これまで漠然と「ホームステイは留学の効果が高い」と捉えられてきていることに着目し,本学短期海外研修の参加学生への研修前後に実施した質問紙調査の結果から,参加学生とホストファミリーとの関係性の確認及び,その関係性が異文化理解に与える影響について把握することを目的とする。 学生が自己評価ベースではあるものの,先行研究同様,「語学力」については消極的な評価となっており,短期的な研修では語学力向上までは期待できない。一方,研修前後での能力評価に統計的有意差が見られたのは「コミュニケーション能力」「異文化理解」であり,成長を実感できるという点で,研修の効果として位置付けることができる。また研修後には,「国土が広い」,「幸福度が高い」,「自然が豊か」,「人々が優しい」,「歴史的に興味深い」の5 項目のイメージに顕著な変化が見られ,総じて良い方向にシフトしていることから,短期間でも研修先に対するポジティブなイメージが形成されることを明らかにした。ホストとの関係性として,やや期待通りではないものの,大きな不満にはつながっていない。むしろ重要なのは,「(ホストに)適度に放っておいてもらった」と感じられることにあり,ホスピタリティ概念に見られる主人と客人の対等な関係を前提とするそうした「主客同一関係」が成り立ち,実際に当該国・地域の人々が優しいというイメージが形成されることが見出された。

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