総動脈幹遺残症術後に合併した肝癌

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Hepatocarcinoma Secondary to Cardiogenic Cirrhosis in a Patient With Truncus Arteriosus

この論文をさがす

抄録

<p> Fontan循環に伴う低心拍出とうっ血肝は心臓肝障害の主な原因であり,時に高度な肝線維化へ進行し,肝癌を合併する場合がある.一方で,Fontan術を受けていない先天性心疾患(CHD)患者の肝癌合併も稀だが報告されている.</p><p> 症例は30歳女性.日齢1に心雑音,チアノーゼを認め,総動脈幹遺残症と診断され,生後4カ月でRastelli術を施行し,術後に重度の低心拍出量症候群を合併した.さらに感染性心内膜炎合併のため生後6カ月で人工血管置換術を施行した.精神遅滞を合併し,その後,右室圧上昇に対し,4歳3カ月,12歳7カ月で右室流出路形成術を施行した.右室圧上昇し,30歳0カ月時に肺動脈弁置換術を施行し,術後CT時に偶然,肝左葉に低吸収域を認めた.肝癌は否定できなかったが,家族による代理意思決定によって,肝生検はしない方針となった.32歳6カ月時に肝右葉への結節性病変出現とAFP上昇を認め,肝癌と診断した.積極的治療を行った場合のQOLを考え,看取り医療の方針となった.その後,肺転移を認め,33歳9カ月時に永眠した.</p><p> Fontan循環でないCHD患者にも肝癌は合併しうる.中心静脈圧高値に伴ううっ血肝を認める患者では,早期から肝臓に対するフォローが必要である.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 54 (5), 596-602, 2022-05-15

    公益財団法人 日本心臓財団

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ