方丈記の語り手蓮胤と災害叙述

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  • ホウジョウキ ノ カタリテ レンイン ト サイガイ ジョジュツ

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本稿では、作者自身を登場させた『方丈記』の災害記事の臨場感について、それが作品末尾に記された「桑門ノ蓮胤」の署名とどのように関連するのか考察を試みた。『方丈記』の五大災厄において、長明が大火や辻風等の災害そのものと夥しい数の死者の姿を正面から取り上げ、都に遍満する穢れを文学作品の表現として対象化しえたのは、反社会的境遇において死者の鎮魂供養にかかわる遁世者「蓮胤」を書き手に設定したからであり、それは慈円の『六道釈』に見られるような仏教的観想に基づく記述としても捉えられる。

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