酪農場における野生鳥獣被害の実態

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タイトル別名
  • Damage Caused by Wild Animals toward Dairy Farms
  • –A Case Study in the Asagiri Highland Area, Shizuoka Prefecture–
  • ― 静岡県朝霧高原を事例として ―

抄録

静岡県富士宮市朝霧高原の酪農場における鳥獣被害の現状を、2011 年に実施した同様の調査と比較し、今後の鳥獣害対策の参考とするため、朝霧高原の酪農家を対象にしたアンケート調査および、コドラートを用いた牧草被害実態調査を実施した。その結果、被害を与えている動物はシカで、92.3%の酪農家が被害を受けており、飼料作物への被害が84.6%と最も多く、その被害収量割合は3 割以上が2011 年の48.1%に対して、今回は45.5%で有意差はなく、また野生鳥獣被害の深刻さ(5段階評定尺度)についての酪農家の意識は2018 年では4.00 ± 0.21 で、2011 年の4.06 ± 0.19 と比べて有意差はなく、依然として野生鳥獣被害は深刻であった。2018 年調査では野生鳥獣被害対策を実施している酪農家の割合は65.0%となっており、2011 年の25.0%に比べ大幅な増加が見られた。また、対策内容の割合は「電牧」が32%、「防護柵」が21%、「追い払い」が20%、「忌避剤」が16%となっており、2011 年に比べ適切な対策がなされていることが窺える一方で、野生鳥獣被害深刻さ(5 段階評定尺度)の数値がほぼ改善していないことから、現在実施している対策に酪農家が満足してはいないようである。以上のことから、今後もシカの個体調整や防除対策とともに、混交林化を含む森林整備などを進め、人とシカとの共存を図る対策が望まれる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577663464279680
  • DOI
    10.57490/jjds.2019.1_43
  • ISSN
    24355933
    21850542
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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