医学教育のための仮想現実空間に表現した物体長計測システムの開発

  • 片山 礼司
    九州大学大学院医学系学府保健学専攻 : 博士後期課程 久留米大学医学部医学教育研究センター
  • 杜下 淳次
    九州大学大学院医学研究院保健学部門医用量子線科学分野
  • 藪内 英剛
    九州大学大学院医学研究院保健学部門医用量子線科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Development of an Object LengthMeasurement System in a Virtual Reality Space for Medical Education

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説明

【目的】本研究は,head-mounted display(HMD)装着下でバーチャルリアリティ(VR)空間に表現 したVR 解剖モデルの直接的な計測評価が可能なデジタルノギスを利用した長さ計測システムのプロトタイプを開発し,計測の正確さと再現性を評価することで,医学・医療分野での活用の可能性と意義を考察することを目的とした.【方法】実物体と仮想物体の位置・動きを同期するセンサで,現実空間のデジタルノギスのjawとVR 空間の仮想jaw とを紐付け,VR 空間で使用できる長さの計測システムを開発した.この計測システムの評価は,一辺が5,10,25,50,100 mmの仮想キューブと,VR で表現した三つのVR 解剖モデ ル(血管,骨格,臓器)に対して行った.キューブは1名の被験者による計測,VR解剖モデルは2名の被験者による計測を行い,結果は,キューブとVR 解剖モデルに対する計測誤差とその統計的分析により評価した.また,被験者内の計測の信頼性と被験者間の計測の信頼性を,級内相関係数(intraclass correlation coefficients:ICC)を求め評価した. 【結果】開発した計測システムは,現実空間のデジタルノギスのjaw とVR 空間の仮想jaw が連動し,HMD 装着下でVR 空間上に表現した物体の長さを計測できた.キューブの計測誤差は,すべてのキューブサイズで0.5 mm以内であった.また,各キューブサイズの計測誤差間には統計的有意差を 認めなかった.VR 解剖モデルの計測誤差は,すべての解剖部位で0.3mm以内で,各VR 解剖モデ ルの計測誤差の間にも統計的有意差を認めなかった.被験者内および被験者間の計測の信頼性(ICC)はともに0.99 と十分に高い値を示した.【結論】HMD装着下でVR 解剖モデルの直接的な計測評価が可能な長さ計測システムのプロトタイプ を開発でき,医学・医療分野での活用の可能性がある.

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