ウリハダカエデで見られた早春の樹液滲出量と夏季の成長特性の関係

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タイトル別名
  • Relationship between the amount of early spring sap and summer growth observed in <i>Acer rufinerve</i>

抄録

<p> 現在、日本に自生しているカエデ属樹木の樹液を利用した事業が各地で広がって来ている。これは地域資源の有効活用だけでなく、病虫害や獣害などのリスクの多い未利用広葉樹林に定期的な巡視や手入れを行う起爆剤となりえる。しかし、カエデ属樹木の樹液滲出量は樹種、個体ごとに大きく異なるため、効率的な樹液採取は困難である。木本類が冬季の凍結・エンボリズムの発生を防ぎ、早春の樹液流動を健全に行うためには、夏季の成長状態が重要と言える。</p><p> そこで本研究では、個体による早春の樹液滲出量は夏季の成長特性となんらかの関係性を有していると考え、調査を実施した。その結果、樹液滲出量が多く得られる個体ほど、夏季における幹の肥大成長率が低く、種子生産を行っていることが確認された。また、樹液採取の有無はその後の肥大成長には影響を与えていないことも確認した。以上の結果から、種子生産を行っていた個体は、早春から種子生産に必要な樹液を樹体に蓄えていた可能性が考えられる。もしそうであれば、早春に多くの樹液を蓄えていると考えられる雌個体を樹液採取個体として選定すれば、効率的に多くの樹液を採取できるかもしれない。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577740951944576
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_413
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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