人工林の主伐はヨタカに生息地を提供する:北海道中部での8年間の調査

DOI
  • 河村 和洋
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所野生動物研究領域 北海道大学大学院農学院
  • 山浦 悠一
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所四国支所
  • 中村 太士
    北海道大学大学院農学研究院

書誌事項

タイトル別名
  • Plantation harvesting provides habitat for the Grey Nightjar: An 8-year survey in central Hokkaido

抄録

<p>攪乱によって形成される遷移初期環境に依存した生物種(遷移初期種)は世界的に減少している。一方、人工林は増加しており、10年生以下の幼齢人工林は遷移初期種の生息地として機能しうる。夜行性鳥類の1種ヨタカは、森林内の遷移初期環境で営巣・採餌するが、国内の分布域は1970年代から大きく減少してきた。北海道では温暖な地域にヨタカが多いことが明らかにされており、そうした地域では人工林の主伐による幼齢林の創出がヨタカの保全に貢献すると期待される。本研究では、人工林の主伐がヨタカの占有率に及ぼす影響を明らかにするため、北海道中部の人工林景観でプレイバック調査を8年間実施した。解析では、気温の代替として標高の影響も考慮した。その結果、ヨタカの占有率に対して500 m圏内の幼齢林率は正の影響を、標高が負の影響を及ぼすことが示された。これらを反映し、幼齢林の増加に伴うヨタカの占有率の増加幅は、標高が低いほど大きいと予測された。これらの結果は、景観内の幼齢林創出がヨタカの保全に貢献できることを示している。人工林伐採を効果的に遷移初期種の生息地創出につなげるためには、その場所の気候や標高を考慮することが重要である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577740952031744
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_51
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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