日本産白トリュフ・ホンセイヨウショウロの系統地理と集団遺伝

  • 木下 晃彦
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所九州支所
  • 松尾 歩
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド研究センター
  • 小長谷 啓介
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所
  • 中村 慎崇
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所九州支所
  • 佐々木 廣海
    菌類懇話会
  • 陶山 佳久
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド研究センター
  • 山中 高史
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所
  • 奈良 一秀
    東京大学大学院新領域創成科学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Phylogeography and population genetics of the Japanese white truffle, <i>Tuber japonicum</i> (Pezizales, Ascomycota)

説明

<p>国内における生物多様性の形成過程の研究は動物や植物が中心で、菌類をはじめ微生物についての事例は極めて少ない。ホンセイヨウショウロはブナ科やマツ科樹木と共生する外生菌根菌で、子実体を地中に形成する。従って本種の分布拡大は、菌根の根外菌糸から他個体へ伝播する無性繁殖と、動物による子実体の摂食と有性胞子の散布によって達成される。本研究では、本種の国内における遺伝構造の解明を目的とした。2006年から2021年に14県25集団から採集した子実体標本からDNAを抽出し、MIG-seq法により一塩基多型を検出した。最尤法による分子系統解析を行なった結果、本種は2つの主要グループに分かれた。1つは東北、関東、中部地方からなるクレードで、もう1つは近畿東部、近畿西部・中国地方東部、中国西部・四国からなるクレードである。すなわち本種には明瞭な地理的遺伝構造が存在し、東日本と西日本で集団が分けられることが明らかになった。この結果は、先行研究によるコナラなど宿主樹木の遺伝構造パタンと一致したことから、本種は宿主との同調的な多様化プロセスにより分布拡大を達成した可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577740952094080
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_615
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ