保持林業実証実験地における源流域の底生動物相-伐採前後の推移-

DOI
  • 長坂 晶子
    北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場
  • 長坂 有
    北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場

書誌事項

タイトル別名
  • Benthic fauna of headwaters in the Retention Experiment for Plantation Forestry Site: Before and after logging

抄録

<p>北海道中央部のトドマツ人工林(道有林空知管理区)において2013年から実施している保残伐施業の実証実験(略称:REFRESH)の一環として、流域面積が10ha未満のトドマツ人工林10流域を調査地として設定し、広葉樹保残率の違いが底生動物の生息環境にどのような影響を及ぼすか検討した。渓流の底質環境は①細粒有機物量が顕著に多い場所、②粗砂・細砂が顕著に多い場所、③流速が早い場所、④礫の隙間が多い場所の4つのタイプに分けられ、各環境に対応した底生動物相が確認された。伐採前後の変化が顕著だったのは皆伐流域で、伐採当年・翌年は夏期降雨によって①、②主体の環境から④主体の環境へと変化した。一方、広葉樹を大量に保残した流域でも、③、④主体の環境だったのが伐採後に①の環境が出現し、伐採時に渓畔域を重機で撹乱した影響が現れたと考えられた。今回の実証実験により、広葉樹保残は皆伐による激変緩和措置となる可能性を示したが、林分における立木保残の有無に拘わらず、沢を横断する集材路などの弱点をつくってしまうと、結果として渓流環境に影響を及ぼすことも確認されたことから、渓畔域保全の重要性もあらためて認識する必要があると考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577740952142208
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_657
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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