紙包材向け水系コーティング剤の開発

  • 佐藤 輝彰
    荒川化学工業株式会社 研究開発本部 水系ポリマー開発部

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Water-based Coating Agent for Paper Packaging Materials

抄録

近年,SDGsやカーボンニュートラルの観点より,紙包材の活用ニーズが高まっている。<br>例えば,プラスチックの持つ優れた機能性(水蒸気バリア性,耐油性,耐水性,ヒートシール(以下「HS」という)性,柔軟性,引き裂き強度など)を持った紙包材や健康リスク懸念のあるパーフルオロアルキル化合物を使用しないで通気性のある非フッ素系耐油紙の開発が各社で行われている。そこで当社では,これらサステナビリティ課題の解決に向けて,機能性水系製品(AWシリーズ)を開発検討している。<br>本稿では,AWシリーズの中から紙包材向け水系コーティング剤(AW-500,AW-102,AW-200)を紹介する。AW-500は,柔軟で高い水蒸気バリア層をクラフト紙上に形成し,固形付着量7.4 g/m2で透湿度6 g/m2・day(折り曲げ後8 g/m2・day)を示した。AW-102は,耐油性や耐水性のある柔軟なHS層をクラフト紙上に形成し,固形付着量6.3 g/m2で,110℃圧着後のHS強度5.2 N/15 mm,2分コブ吸水度6.3 g/m2,折り曲げ前後の耐油キット値7を示した。AW-200は,クラフト紙の通気性を保ちながら耐油性を発現し,固形付着量6.7 g/m2で耐油キット値6と透気抵抗度1,500秒を示した。また合成樹脂を対象にした食品用器具・容器包装の暫定ポジティブリスト対応品の開発状況についても報告する。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 77 (5), 414-419, 2023

    紙パルプ技術協会

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