重症COVID-19の妊婦に対してECMO導入後に帝王切開術を施行し救命した1例

DOI
  • 吉岡 晃佑
    さいたま赤十字病院 高度救命救急センター 現所属:練馬光が丘病院 総合救急診療科集中治療部門
  • 神山 治郎
    さいたま赤十字病院 高度救命救急センター
  • 古谷 慎太郎
    さいたま赤十字病院 高度救命救急センター
  • 鈴木 源
    さいたま赤十字病院 高度救命救急センター
  • 早川 桂
    さいたま赤十字病院 高度救命救急センター
  • 田口 茂正
    さいたま赤十字病院 高度救命救急センター
  • 清田 和也
    さいたま赤十字病院 高度救命救急センター

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抄録

<p>症例:42歳の妊婦。妊娠24週で新型コロナウイルスPCR(polymerase chain reaction)検査陽性となり、前医に入院。第19病日に呼吸状態が増悪し、気管挿管および気管切開術が施行された。第20病日に総合周産期母子医療センターの当院に転院搬送。人工呼吸管理では呼吸状態を維持できず、抗凝固薬を使用せずに静脈-静脈体外式膜型人工肺(veno-venous extracorporeal membrane oxygenation:V-V ECMO)を導入した後に、母体救命目的の帝王切開術が施行された。術直後から深鎮静管理、腹臥位療法、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone:mPSL)125mg/日の投与が行われた。第21病日から未分画ヘパリンを開始し、第25病日に創部からの出血があり、開創止血術を施行。その後、呼吸状態の改善に伴い、第29病日にECMOを離脱。第35病日に気管切開チューブを抜去し、第45病日に独歩退院となった。</p><p>結語:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、妊婦の症例が増加した。妊婦は重症化のリスクがあり、人工呼吸管理が奏効しない場合はECMO導入が治療の選択肢になり得る。ECMOの導入は出血性合併症などのリスクが伴うが、集学的治療によって救命し得る。</p>

収録刊行物

  • 人工呼吸

    人工呼吸 40 (1), 69-74, 2023

    一般社団法人 日本呼吸療法医学会

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