川崎病症例12年間の検討

書誌事項

タイトル別名
  • ~免疫グロブリン療法を中心とした治療戦略について~

説明

松江市立病院小児科にて過去12年間に川崎病と診断し,加療を開始した174例について,疫学,症状,治療内容,治療成績,血液検査値を検討した.年間11~21例を入院加療しており,季節性,男女比,年齢分布などは全国調査とほぼ同様の傾向を示していた.治療結果は,アスピリン内服のみで治癒した10例を除いた164例中118例(72 %)が免疫グロブリン療法(以下IVIG)単回投与で治癒し,3rd lineまでIVIG追加のみで治癒した症例は164例中145例(88 %)であった.冠動脈瘤を遺した症例は1例(0.57 %)のみだった.9割以上の症例が第6病日までに治療が開始されていたが,治療開始病日が早くなるほど初回IVIG不応症例が増加する傾向が見られた.3つの主要なIVIG不応予測スコアについて当科の症例で計算したところ,感度・特異度は群馬(小林)スコアにおいて56 %・70 %,久留米(江上)スコアにおいて54 %・75 %,大阪(佐野)スコアにおいて28 %・90 %となり,点数が低くても治療に難渋した症例もあれば,点数が高くてもIVIG単回投与で治癒していた症例も多々あった.IVIG反応例と不応例について主な血液検査値を比較したところ,CRP,プロカルシトニン,白血球好中球比率,AST,ALT,総ビリルビンで有意な差が認められた. 当科ではこれまでIVIG不応予測スコアにとらわれず,できるだけIVIG単独で加療するという方針でやってきたが,後遺症として冠動脈瘤合併は1例のみで,この方針は妥当であったと思われた.追加治療に関しては治療薬の選択肢が広がったことから,頻回の心エコーによる冠動脈の経時的評価など個々の患者の状況を慎重に見極めながらより適切な治療方針を迅速に決定していくことが肝要である.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577818147874944
  • DOI
    10.32294/mch.26.1_1
  • ISSN
    24348368
    13430866
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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