日常生活歩行における歩行比とフレイルとの関係

書誌事項

公開日
2022-12-01
DOI
  • 10.57304/jsptpsuppl.1.suppl.no.1.0_11
公開者
日本予防理学療法学会

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説明

<p>【はじめに、目的】</p><p>歩幅とケーデンスの比である歩行比はエネルギー効率最適化によって実験室歩行では一定に保たれる。一方で、歩行比は多発性硬化症、2重課題歩行などで低下することが報告されており、中枢における歩行制御を反映した指標である。われわれは、スマートフォンアプリによる日常生活における歩行速度(DWS)に関する研究を行っており、日常生活において測定されたさまざまな歩行では歩行比は変動し、それがフレイルを鋭敏に捉えるのではないかと仮説した。本研究では、日常生活中の歩行比は変動するのか、変動する場合はフレイルに関連するのか明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>地域高齢者のコホート「板橋お達者健診2011コホート」の2018年調査参加者から、DWS測定参加者を募り、20m以上の定常歩行を検出する度にGPSによる測位に基づき歩行速度を算出するスマートフォンアプリによる1ヶ月間のDWS測定を行った。本研究では、アプリによる測定値が50回以上得られた92名(男性35名、女性57名、平均年齢71.9(SD=5.6)歳)を分析対象とした。J-CHS基準によってプレフレイル、フレイルを評価し、対象者をフレイル群と健常群に分けた。対象者ごとの歩行速度と歩行比の関係を散布図とPearson の相関係数にて検討した。歩行比、歩行速度、歩幅、ケーデンスの1か月間の平均値、変動係数(CV)を算出し、フレイル群と健常群の間の差をt検定によって検討した。</p><p>【結果】</p><p>フレイル群は30名(プレフレイル30名、フレイル0名)、健常群は62名であった。対象者全体における歩行速度と歩行比の相関係数の平均値は0.60(0.15)であり、歩行速度が増加すると歩行比が増大する正の相関を認めた。1か月間の平均歩行比はフレイル群、健常群ともに0.006(0.0005)で差を認めなかった。1か月間の平均歩行速度、平均歩幅、平均ケーデンスも両群で差を認めなかった。ケーデンスのCVはフレイル群9.3(2.00)%に対して健常群では10.5(2.92)%で、フレイル群で有意に低値であった(p<0.05)。歩行比、歩行速度、歩幅のCVは両群で差を認めなかった。</p><p>【結論】</p><p>歩行速度の増加にともなって歩行比が増大したことから、日常生活中の歩行では歩幅を広くして歩行速度を増加させていることが示唆された。一方、ケーデンスは歩幅に比べて頑強であり、ケーデンスが中枢の歩行リズム生成系によって制御されるためではないかと考えられた。1か月間の平均歩行比はフレイルであっても最適歩行付近の値であり、歩行比ではフレイルで特徴を認めなかったが、フレイルではケーデンスの変動が小さいことが示唆された。歩行のリズムを調節できることがフレイルでないことを反映しているのかもしれない。日常生活歩行におけるケーデンスの変動に着目することで、フレイルの予兆を鋭敏に捉えられる可能性がある。本研究のフレイル群はプレフレイルのみであったので、フレイルを含むデータによる検証が必要である。</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】</p><p>本研究は東京都健康長寿医療センター研究部門倫理審査委員会の審査承認を得て実施し(承認番号:2018年K120)、対象者には口頭及び書面によるインフォームドコンセントを得た。</p>

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