新型コロナウイルスによる中学校休校後の学校再開へ向けた予防活動

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>2020年3月、新型コロナウイルス感染拡大予防から全国の小中学校の休校が決定した。学校生活において夏休みなどの長期休暇後は心身の問題が発生しやすいことが報告されている。3ヶ月という長期休校後の学校再開はStay homeや未知の感染症に対する不安、新1年生は入学による環境変化もあり、より心身の問題が生じやすいことが予測された。そこで、学校再開後の生活で起こりうる問題を予防することを目的に、理学療法の側面からの情報提供やアンケート調査を実施したため報告する。</p><p>【方法】</p><p>東京都の中学校教員1名より学校再開へ向けた不安や、対処が必要と思われる情報を電話にて聴取した。予防理学療法学会新型コロナウイルスこころの健康予防班内で、聴取内容に対し市民向けに収集していた情報を元に感染予防・メンタルケア・身体的ケアの項目で情報を整理し、Q&A方式で資料を作成した。メンバー間の意見交換はグループウェアおよびオンライン会議にて実施した。また、資料を簡略化し教室で出来る運動も掲載した小冊子を作成し郵送した。加えて、休校中の生活についてアンケートを作成し、一斉登校再開1週間後に教員より全生徒へ実施した。質問項目は、1.食事は3食食べたか?、2.睡眠時間、3.運動実施の有無、4.運動回数、5.運動時間、6.運動の種類、7.日中の過ごし方、8.新型コロナウイルス禍での生活に対する気持ちとした。</p><p>【結果】</p><p>学校再開後、資料を利用し毎朝・夕のホームルームにてストレッチ等の運動を当該教員が担当学年で実施した。また、小冊子を見た体育教員の希望もありPDFデータを送付し校内で掲示され、活動性低下に対して体育の運動負荷を徐々に上げる配慮も共有された。</p><p>アンケートは114名の生徒(1年生36名、2年生35名、3年生43名)より回答を得た。回答は、1. はい77名、いいえ37名、2. 平均8.3時間、3.運動実施55名、非実施49名、4. 平均週3.3回、5. 平均59分、6. 縄跳び17名、筋トレ11名、ランニング9名、7. ゲーム57名、宿題・勉強53名、動画視聴50名、8. 早く終息してほしい50名、勉強の遅れが不安40名となった。アンケート結果は全保護者へ配布された。体育教員による運動時の生徒の様子観察では、筋力や柔軟性など運動器の問題だけでなく過集中や視野の狭窄などの変化、腹痛や吐き気を訴える生徒も見られていた。</p><p>【結論】</p><p>感染対策により移動や対面での直接的な活動ができない中、電話やオンラインを活用し教員から聞き取りを行ない、情報収集や資料作成、アンケート内容の検討、情報提供などコロナ禍でできる間接的な活動を模索し実施した。間接的な予防活動においては、理学療法士として提供可能な情報を運動のみならず健康増進・健康教育の視点で整理し、発信・啓発していくことも必要と思われた。</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】</p><p>本発表について、当該教員へ書面にて報告し学校側の承諾を得ている。</p>

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